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繊維の種類を知ろう

繊維とは

繊維
©東京都立産業技術研究センター
私たちが快適な衣生活を送るためには、衣服を形作る繊維の特徴を理解し、それぞれの長所・短所をよく生かして楽しむことが一番の基本であり、大切なことだと言えます。

繊維とは

衣料品は糸を織ったり、編んだりしてつくられる布地を一般的には縫い合わせて、あるいは糸から直接編み立てて作られますが、その糸を構成している素材が繊維と言われるものです。 一般に、細さは1mmの1/100から1/10程度で非常に細いため、曲がりやすくしなやかな素材です。 また繊維は、植物や動物などの天然素材から得られる『天然繊維』と、人工的に発明され実用化出来る素材に形作られた『化学繊維』に大別されます。それぞれ性能には特徴があり、長所・短所をしっかりと理解しておくことが着心地の観点からも洗濯の観点からも非常に重要です。
大分類 種類 繊維名 特徴
天然繊維 植物繊維 綿 吸湿性、通気性がよく、耐洗濯性もよいが、シワになりやすく、縮みやすい
手触りは硬く、吸湿性がありサラっとしてべとすかないが、弾力性に乏しく、シワになりやすい
動物繊維 羊毛 吸湿性、保温性に優れているが、摩擦により毛羽立ちなどが起こりやすい。また、熱などに弱く縮みやすい。更に、虫害も受けやすい
発色が鮮やかでしなやかさと吸湿性に優れているが、汗や摩擦によって毛羽立ちや変退色が起こりやすく、紫外線で黄変する
モヘヤ アンゴラ山羊の毛で、選別した産毛(ウール)を使用。繊維が抜けやすい。強度、弾性が大きく耐久性がある。着用の際、他の衣服に毛が付着することがあるので注意が必要
カシミヤ カシミヤ山羊の毛で、選別した産毛(ウール)を使用。繊維は細く、柔らかい。光沢があり保温性に優れている。
アンゴラ アンゴラ兎の毛で、剛毛(ヘアー)と産毛(ウール)がある。色は純白で極めて柔らかい。繊維の中心が空洞であり保温性に優れている。静電気が発生しやすく、繊維も抜けやすい為、ナイロンなどと混紡したものが多い。混紡比率60%以上の高いものは要注意。
アルパカ アンデス山岳地帯に生息するラクダ科の動物アルパカの産毛(ウール)。柔らかく表面が滑らかで、光沢とぬめり感がある。
ビキューナ アンデスの山岳地帯に生息し、捕獲を禁止されているラクダ科の動物ビキューナの産毛。毛類の中ではもっとも細く柔らかい為、最高級品種といわれている。
羽毛 ガチョウやアヒルなどの水鳥から採取した羽の総称。ダウン(綿毛)、フェザー(羽根)、ファイバー(羽枝)に分別される。主に布団や衣料品の詰め物として利用され、特にダウンは軽くて柔らかい。圧縮しても回復が早く、保温性も高い。
化学繊維 再生繊維 レーヨン 光沢があり、吸湿性、染色性に優れており、安価だが、シワになりやすく、水に濡れると強度が低下する。
ポリノジック 水分に弱い、シワになりやすいなどのレーヨンの欠点を改善した「改質レーヨン」と呼ばれるレーヨンに似た繊維。
キュプラ 絹に似た光沢があり、染色性に優れているが、縮みやすく、水に濡れると強度が低下する。
テンセル 乾強度、湿潤強度ともにレーヨンより大幅に優れるが、湿気と摩擦などの外力を受けると、ささくれが生じ、白化するので取扱いに注意を要する。
半合成繊維 アセテート 絹に似た光沢と感触があり、軽く吸湿性もあるが、摩擦やアイロン熱に弱い。
トリアセテート アセテートと性質はほとんど同じだが、光沢がアセテートより優れており、シワになりやすい。
プロミックス 適度な吸湿性、絹に似た暖かい感触、美しい光沢が特徴。染色性に優れているが、日光に弱い。薄地製品によく使われ、着用時のスレに注意。
合成繊維 ナイロン 軽くて丈夫、水分や摩擦に強いが吸水性が低く、日光やガスなどで黄変する。白や淡色の衣類では年数が経つと変化が目立つ。熱に弱い。
アクリル 軽くて保温性が高く、耐候(光)性にも優れている。毛に似た手触りが特徴的で、セーター、靴下などに多く使用されている。しかし、毛玉が出来やすく、汚れやすい。
ポリエステル シワや型崩れに強く、乾きやすく、洗濯での伸縮も少ない為、衣料品で数多く利用されている人気のある繊維。欠点は、吸水性が低く、静電気が生じやすい。また、毛玉も出やすく、汚れも吸着しやすい。
ビニロン 合成繊維の中では最も吸湿性に優れている。摩擦に強く、保温性に優れているが、染めにくく、毛玉がつきやすい。
ポリ塩化ビニル 丈夫で耐薬品性が優れている。しかし、吸湿性が無く、色が染まりにくい。また、耐熱性は特に低く、60度以上の熱で収縮・型崩れなどが起きるなど、衣料品としては適さない。
ポリエチレン
ポリプロピレン
耐熱性が低く、吸湿性も全くない。衣料品にはあまり使われず、カーペット、ロープなどに使用される。
ポリウレタン
スパンデックス
よく伸び、その回復力も優れている。ゴムより強度が高い。ストレッチ性のある衣類によく用いられる。一方、染色性が低く濃色は色落ちしやすい。また、熱や紫外線、汗などの作用で黄変や劣化が起きやすい。
ポリクラール 燃えにくく、適度な吸湿性があることからカーテンなどに用いられるが、現在は生産されていない。
アラミド 強度は普通だが、耐熱性があり燃えにくい「メタ系」と、強度があり燃えにくい「パラ系」の2種類がある。主に「メタ系」は消防服などに利用され、「パラ系」は防弾チョッキなどに利用されている。
ポリ乳酸 トウモロコシやサトウキビなどに含まれるデンプンを原料にしたエコロジー繊維。ポリエステル繊維とほぼ同じ強さを持ちながら、最終的には土中や水中の微生物の働きで二酸化炭素(炭酸ガス)と水に分解されるなど、生分解性が優れている。しかし、熱に弱いのが欠点。
無機繊維 ガラス ガラスを繊維状にしたもの。耐薬品性、耐熱性、電気の絶縁性に優れている。建材や産業資材などに用いられ、衣料では用いられない。
炭素繊維 アクリルやレーヨンを焼いて炭素化した繊維。軽くて、丈夫。樹脂で固めて釣竿やゴルフクラブのシャフトなどに用いられ、衣類では用いられない。
金属繊維 金属を細く、長く伸ばしたもの。衣類ではステンレスが他の繊維と交織して用いられる。錆(サビ)や折り曲げの強度や皮膚障害についてなど、取扱いに注意が必要。
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