「ダウン」と「中綿(なかわた)」の違い | 繊維の種類を知ろう | 千葉県クリーニング生活衛生同業組合 ホームページ

繊維の種類を知ろう

「ダウン」と「中綿(なかわた)」の違い

コートや布団の防寒具には、必ず中綿(なかわた)が入っています。
その中綿に用いられる天然繊維と化学繊維にはどのような違いがあるのでしょうか。

中綿(なかわた)とは

中綿とは、布団・コート(キルティングコート)・寝袋・まくら・ぬいぐるみなどの中に入れる詰め物のことを指します。
布団・コート・寝袋などは冬物の防寒具として使用されるため、吸湿・発熱・保温など機能に優れた素材が中綿として用いられます。

中綿(なかわた)に適した素材とは

天然繊維の場合
「羽毛布団・ダウンジャケット」など聞き馴染みがある通り、ダウン(ワタ羽)・フェザー(羽根)などが代表的で一般的にダウンとフェザーは混合して使用されます。
セーターなどに用いられることが多い羊毛(ウール)も、中綿として使われることがあります。
天然繊維は、ふわふわとした羽や毛の繊維の間に空気を包み含ませることで保温性を高めます。
(参考:ダウンジャケットと上手に付き合う
化学繊維の場合
ポリエステルわたが代表的です。「ポリエステル=暖かい」というイメージを持たれる方は少ないと思いますが、ポリエステルは加工が容易という特徴を生かして「保湿・保温に適した形状」に加工され、中綿に使用されています。
具体的には繊維の中を空洞(中空繊維)にすることでボリュームを出しつつも軽量化し、その空洞に空気を含むことで保温性を高めます。
(参考:合成繊維 ポリエステルについて


中綿(なかわた)に用いる繊維の特徴

中綿には天然繊維が使用される場合と化学繊維が使用される場合がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

天然繊維の特徴
もともとは動物が自らの体温や生命を維持するための毛や羽なので、とにかく軽くて暖かいというのが最大の特徴です。私たちが普段着用することが多い軽量なダウンコートだけでなく、雪国や寒冷地(南極など)に対応できるダウンコートなどもあるほどです。
また保温性・吸湿性・透湿性・圧縮回復性などの機能も持ち合わせています。
一方、家庭での洗濯やケアがしにくいことも知られています。
ダウンやフェザーは乾燥に時間がかかる上、ボリュームが無くなると機能性が低下することなどから基本的には家庭で洗うことが出来ません。さらにダウンコート類は風を通しにくい(通気性の小さい)生地が使用されていることが多く湿気がこもりやすいため、雨に濡れたり汗をかいたりした後の乾燥が不十分だと、機能性が落ちるだけでなくカビが発生してしまうこともあります。
また、天然繊維は高価なことも特徴です。羽毛の場合一般的にダウンの混用率が高いほど高級とされていて、一着数十万円するダウンコートも珍しくありません。
化学繊維の特徴
天然繊維に比べて水に強いのが特徴で、乾燥も早いため自宅で洗える品物もあります。天然繊維に変わる繊維として開発されているため、比較的安価ではありますが、機能性が高いものの場合は天然繊維と同等レベルの価格で販売されることもあります。
化学繊維(ポリエステル)は繊維の形状や断面の加工が容易なので、より薄く・より軽い中綿が開発されていますが、重さ・保温性・吸湿性・透湿性・圧縮回復性など、総合的には天然繊維の方が優れていると言えます。

まとめ

天然繊維の中綿も化学繊維の中綿も保温性の高め方(繊維の間に空気を含ませる)はどちらも同じで、互いに多くのメリットがありました。
機能性に若干の優劣はあるものの、一番の違いは「水で洗えるかどうか」だと言えます。
先述の通り、天然繊維は基本的に家庭洗濯(水洗い)が出来ません。
着用する機会が少ない衣服の場合は汚れが付着する機会も少ないので、中間洗いしまい洗いで十分かもしれません。
しかし普段着として着用しているものの場合、著しく汚れて水洗いが必要になっても中綿が天然繊維の場合は水で洗うことができないため、ケアには特別な技術(天然繊維を水洗いできる技術)を要します。
天然繊維の水洗いは、全てのクリーニング店で実施できるわけではありません。
普段着として着用する衣服の中綿が天然繊維であった場合は、水洗いを必要とするほどの著しい汚れが付着しないよう注意することや、日ごろから信頼できるクリーニング店を決めておく(近いから、安いからという理由でクリーニング店を選ばない)ことも重要と言えます。

なお、ポリエステルわたを使用し家庭洗濯(水洗い)が出来る品物であっても、中間洗いやしまい洗いの場合はクリーニング店に依頼することが安心です。
それは家庭の洗濯機とクリーニング店の洗濯機では、洗浄力が大きく異なるからです。
冬用防寒衣料の場合、次に着用するまで長期間保管することになりますが、もし衣服に汚れが残っていた場合は条件が揃えば虫やカビにとって絶好の繁殖機会になってしまいます。
クリーニングでしっかり汚れを落とし、次のシーズンも気持ちよく着用しましょう。
(参考:長期保管の注意点

同じカテゴリの新着記事