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「人間」と「衣服」の共通点としての『健康管理』について

お気に入りの衣服をキレイに着用することで、私たちは快適に過ごすことができ日常も豊かに彩られます。
そんな衣服を長くキレイに楽しむうえでのポイントは、実は私たち人間が行う"健康的な生活習慣と健康診断を受ける"といった「健康管理」の考え方と共通しています。
具体的にいえば「生活習慣病」の関係と似ていて、「衣服の生活習慣病予防」を心掛けたり「衣服の定期健診」を受診することで、衣服の健康状態を保つ(少しでも長くキレイに楽しむ)ことにつながります。
このコラムでは、人間と衣服の健康管理における共通点を具体的に解説したいと思います。

人間にも衣服にも大切な、健康管理



人間の場合
衣服の場合
【生活習慣病】
生活習慣によって引き
起こされる病気(影響)
・肥満(メタボ)
・糖尿病
・高血圧
・歯周病
・肺気腫
・アルコール性肝疾患
・毛玉の発生
・生地の脆化
・生地の収縮や伸び
・変色
・虫食い
・カビ


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【原因】
日常生活での悪い習慣
・運動不足
・不摂生
・喫煙
・飲酒
・摩擦
・不適正なサイズでの着用
・癖
・汚れの放置
・間違った洗濯、干し方、保管
【予防】
健康維持のために日常的に心掛けておきたいこと
・健康に良い食事をする
・適度な運動をする
・暴飲暴食や喫煙を控える
・衣服の用途や繊維に合わせた着用
・生地に負荷をかける着方をしない
・正しい方法で洗濯、乾燥する
・正しい方法で保管する
・適宜クリーニングを活用する
【健診】
無自覚部分の問題を発見すること
・定期的に精密検査をして無自覚症状の病気の早期発見をする・目に見えない汚れや気付かない汚れをしっかり落として、シミの原因を根絶する。
・プロによる仕上げを施し、型崩れを復元させる。
【治療】
それでも調子が悪いとき
・医師による治療や投薬・クリーニング店での洗浄やシミ抜き、補修


まず上の表をご覧ください。
「人間と衣服に共通点なんかあるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この表を見ていただくと、納得していただけると思います。
両者の共通点を簡単に言うと、どちらも「日頃からケアをしなければ、状況が悪化してしまう」ということです。

生活習慣病とは何を指すのか

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生活習慣病という言葉を聞いたことがある方が多いと思いますが、これはひとつの病気の名前ではなく、複数の症状の総称です。
具体的には、肥満・糖尿病・高血圧・歯周病・肺気腫・アルコール性肝疾患などです。
これらの症状を衣服に置き換えると、毛玉の発生・生地の脆化(ぜいか)・生地の収縮や伸び・変色・虫食い・カビなどを指します。
生活習慣病はその名の通り「生活習慣によって引き起こされる病気」です。
では、どんな生活習慣がこのような症状を引き起こしているのでしょうか。

生活習慣病の原因は

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人間の場合、運動不足や不摂生、過度な喫煙や暴飲暴食が病気を引き起こすと言われていますが、衣類の場合はどんな生活習慣が悪影響を及ぼしているのでしょうか。
私たちにとって、衣服におけるもっとも身近なダメージ症状は「毛玉」だと思いますが、毛玉も含めて衣服のあらゆるダメージの原因となるのが摩擦です。摩擦というと衣服同士をあえて強くこすり合わせるほどの状況をイメージされるかもしれませんが、摩擦の対象は衣服同士とも、強い摩擦とも限りません。実は鞄などと接するだけでも衣服にとってはダメージの元になるのです。
また、不適切なサイズでの着用もダメージの大きな原因になります。サイズの合わない衣服を着用すると、製造時に想定されていない部分の生地が引っ張られることになり、そこから脆化(科学的に分解し、もろくなるイメージ)し、縫い目がほつれ、生地の劣化などが進みます。
ベーシックなデザインの衣類や季節もの(コートなど)は、複数年着用するという方も多いと思いますが、衣服を購入する時はもちろん、久しぶりに着用する衣服の場合には改めてサイズの確認を行い、少しでもきつく感じる部分があれば着用を控えましょう。
お気に入りの衣服をきれいに着用するためには、体形に衣服を合わせるのではなく、衣服に体形を合わせる努力が必要です。

他にも着用の癖(かかとをすって歩くことによる裾の破れや、お尻のポケットにお財布を入れる行為など)や、汚れの放置(虫食いやカビ、変色の原因)などもありますが、自分に合ったサイズの衣服を着用することや、着用の癖・汚れの放置などは意識することで解消されるので、最も解消しやすい原因であるとも言えるでしょう。
そして意外と認識されていない原因が、自宅での間違ったケアです。衣服には、必ず洗濯絵表示が付いていますが、衣服ごときちんと確認していますか?
先に紹介した「摩擦」は、洗濯時にも大きな負担を与えます。例えば、顔料や染料が擦れて色が変化してしまうことや、ウールが収縮したり、虫食い穴が広がったり、脆くなっていた繊維がほつれてしまったり、破けてしまったりなどが挙げられます。
よって、素材、混紡率、用途、色(染色)などによって洗たく・干し方・保管方法は異なりますので、ご自宅では必ず洗濯絵表示に沿ったケアを実施しましょう。

ここまでに挙げた複数の原因を総合的に考えると、まずはどんな生活習慣が衣服にダメージを与えているかを意識することが大切だということ、これらの原因を解消していけば生活習慣病は防げるということがわかります。
衣服の摩擦を全く起こさずに生活することは困難ですが、それでもダメージ予防の方法は残されています。

生活習慣病の予防方法とは
それでは、生活習慣病の予防について考えてみましょう。
運動不足や不摂生・過度な喫煙や暴飲暴食が生活習慣病の原因と言われている人間の場合は、スポーツなどに加えて日常での運動(エレベーターでなく階段を使う、電車の中で座らない、短距離移動は徒歩にする...)などを意識する必要があります。
また、過度な喫煙や飲酒も体に負担をかけるので、どちらも"適量"を心掛けて嗜みとして楽しむことが大切です。
一方、衣類ではどんな予防方法が挙げられるでしょうか。
大切なことは、衣服の用途や繊維に合わせた着用をするということです。
例えば、摩擦は全ての繊維で避けたいダメージではありますが、毛玉になりにくい繊維も作られています。ですから摩擦がかかる作業などを行う時などは、「毛玉になりにくい繊維」に意識して衣服を購入することが賢明です。
この考え方を応用すると、「この繊維は家庭洗濯機で洗濯できないので、汗をかく夏場は臭いが取れない場合もあるから、着用しないほうが良いな」といったことや「この繊維は綺麗な色柄だけど、脇汗でも色が出やすいので、夏場、雨の日が着用しないほうが良いな」というような選択ができるようになります。
他にも、正しい洗濯・干し方・保管はその衣服の寿命を延ばす上でとても重要なポイントです。この方法を誤ってしまうと、衣服の寿命はすぐに短くなってしまいます。まずは洗濯絵表示を正しく読み、理解して実践しましょう。
わからない部分は記載されているメーカーやクリーニング店に相談してみるのも良いでしょう。
既述の通り衣服は自宅での保管場所や保管方法がとても大切ですが、それらのアドバイスをクリーニング店に聞いたり相談したりする方はあまり多くないようです。
信頼できるクリーニング店は、衣服に関する様々なアドバイスをしてくれるはずです。
定期的な健康診断が大切

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ほとんどの方が、定期的に健康診断を受けられていると思います。自覚症状はなかったのに、健康診断をキッカケに病気が見つかるという方も少なくはありません。
健康診断は、無自覚部分を発見するという大きな役割を持っています。
衣服にも同じことが言えるのですが、それはどんなことでしょうか。

汚れとは、目に見えるものだけではありません。
目に見えない汚れや洗剤の残りカスはカビ菌や虫のエサとなり、時間をかけて顕在化するケースもあります。
ですから、代々伝わる親族の形見や年代物・高価なブランド品などのケア、衣替えの時などのしまい洗い、ワンシーズン連続して着用するコートなどの中間洗い、一定期間保管していた衣服を久しぶりに着用する時などが大切で、汚れが見えなくてもクリーニングに出すと安心です。
また、クリーニングには汚れを落とす他に型崩れを修復させるという役割もあります。細かなプリーツスカートの折り目、ジャケットやキャップなどの形の回復は自宅での処理に限界があります。これらを「衣服の健康診断」と認識して実施すると良いでしょう。

それでも不調な時は...
どんなに予防をしてもどんなに健康診断をしても、残念ながら私たち人間は病気やケガに突然襲われるリスクを背負っています。特に交通事故などは、自分だけが気を付けていても防ぐことはできません。そんな時は医師による診察を受け、治療や投薬をすることになりますが、衣服における医師や診察はどんなことを指すのでしょうか。

衣服における不慮の事故は、食事の際についてしまったシミや、ダメージを引き起こす原因を意識できなかったことによる破損や変色にあたります。
そんな時は、なるべく早く衣服の病院であるクリーニング店に相談してください。
クリーニング店によっては、シミ抜きだけでなく脱色してしまった部分を修復する色掛けや破損した箇所を修復する技術を持ったお店があります。
クリーニング店はどこも同じではありません。衣服のダメージに合わせて、その治療ができるクリーニング店を選びましょう。
(参考:クリーニング店の選び方

大切なのは「お互いの協力関係」

今回は衣服を長く綺麗に楽しむための方法として、衣服のダメージを生活習慣病に例えて考えてみました。
困った時にクリーニング店を頼ることは決して悪いことではありませんが、全てをクリーニング店任せにするのではなく、自宅での正しい洗濯や保管が衣服の寿命に繋がっていることを知っていただきたいと思います。
予防から実践は私たちが、その先の診察や治療はクリーニング店が担い、お互いの協力関係の基でお気に入りの衣服を長くきれいに楽しみましょう。
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